空想の域

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『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』全28巻 感想

和月伸宏るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の感想です。リメイク版があるようですが、今回読んだのは初出版です。ネタバレがあります。

 

幕末に「人斬り抜刀斎」と恐れられた剣豪・緋村剣心が、逆刃刀を手に「殺さず」の誓いを守る流浪の剣客として明治時代を生きる様を描いた歴史バトル漫画です。

るろ剣』に関しては「キワミ動画は知っているけど原作を読んでない」という状態で、前々からそれではいかんと思っていたのですが、最近、機会があってようやく一気読みできました。

 

 

「不殺」の誓い

剣心といえば不殺の誓いです。不殺を、それも堂々と宣言しちゃっている系の主人公です。

でも、剣心には不殺系主人公にありがちなウジウジした感じがなくて、とても親しみやすい。そのおかげなのか、敵を「殺す」かどうか、という少年漫画では扱いの難しいテーマを扱いながらも、話のトーンが明るめでとっつきやすいです。

そもそも、剣心は頑なに戦い拒否しているわけじゃないです。やる時はやる。でも殺さない。そういうすっぱりしたところがあるので、バトルシーンは素直に燃えます。

 

それに、剣心は不殺ですが、他のキャラはそうでもないです。

本作の登場人物は敵であれ味方であれ、自分なりの信念を持っており、剣心に傾倒することがありません。

そもそも、剣心が殺さなかったからといって、その人物達がみんな人生をやり直して真っ当に生き伸びるわけではなくて、中には結局死んでしまう奴もいます。

志々雄を殺してくれというのは不殺の誓いを破ってくれということであって、味方にさえこの言われようなのです。

そうしたシビアさがちゃんとあるおかげで、剣心の強さにもご都合主義感がなく、ライバルや敵キャラも一本芯の通った魅力的なキャラとして印象づけられ、それがこの漫画の面白さにつながっていると思うのです。

 

ちなみに、私の一番のお気に入りキャラは斎藤です。

剣心の不殺主義なんぞおくびにも触れず、宇水さんを叩き斬ってしまう容赦のなさ、「悪・即・斬」を「無論、死ぬまで」貫くのだときっぱり言い切る男気には痺れます。

剣心に比べればだいぶ過激ですが、これもまた一つの正義なのだと言えるだけの芯の強さが斎藤にはあるんです。

 

 

各エピソードの感想

ストーリーは大体、東京編、京都編、人誅編の3つに分かれています。

 

東京編

導入から、レギュラーキャラの面々が揃うまでの話です。

さらに細かいエピソードに分かれていますが、一番面白かったのは蒼紫も出てくる恵編です。女子キャラの中では恵さんが一番好きですし、色もの雑魚集団だと思ってた御庭番衆が実は固い絆で結ばれているという展開が良かったです。人を見た目で判断しちゃ駄目ですね…。

最初期はバトルが基本瞬殺なので、若干単調(剣心が強すぎるので仕方ないんだけど)なのですが、蒼紫戦あたりからは必殺技も出だして面白くなってきます。

 

京都編

国取りを目論む志々雄一派との闘いを描いた、本作で一番盛り上がるエピソードです。

何はなくとも志々雄のカリスマ性がすごい。

苛烈な人生を送っているにもかかわらず、過去をひけらかすことなく「この世は弱肉強食」という剣心とは全く相容れない信念を持ち、下手にお涙頂戴にせず真っ向から激突して壮絶な最期を遂げる。まさに悪役のお手本的キャラです。

十本刀の面々も個性的だし、やっぱりバトル漫画は敵が魅力的なほど面白いですね。

 

人誅編

雪代縁との闘いを通じて、剣心が自身の恋人・巴を殺したの過去と向き合う話。

正直、京都編の方が面白いです。縁はともかく、それ以外の敵キャラがみんな小物くさくて魅力に乏しく、話も間延びしている感があります。

しかし、剣心が過去の罪と向き合う内容は締めにふさわしいエピソードですし、何より剣心の過去が分からず仕舞いでは作品自体に物足りなさが残ってしまいます。バトル的には物足りなくても、ドラマ的には価値ある話だと思います。

どうでもいいんですが、剣心が縁に対して「失明するから眼鏡をとれ」って言うところが優しくて好きです。

 

 

おわりに

少年漫画としては、異色で王道な作品です。

単純にバトル漫画として見ても中二カッコよくて面白いし、不殺、贖罪というテーマも、各々の信念がしっかりと描かれていて見応えがあります。

絵柄はちょっと古いですが、キャラのカッコよさは不変。

きっかけは映画でもキワミでも何でも、興味を持ったのなら読んで損はない作品です。