空想の域

あくまで個人の感想です

狂気のゲーム「ドラッグオンドラグーン」の思い出

2003年にスクウェア・エニックスから発売されたちょっとどころじゃなく頭のおかしいPS2用ゲーム「ドラッグオンドラグーン」の思い出を語ります。ネタバレがあります。

 

狂気の狂気による狂気のためのRPG

王道のイメージが強いスクエニが突如として世に送り出した怪作RPGです。

剣と魔法とドラゴンの存在する世界で世界の破壊を目論む「帝国」との戦いを描くという一見すると王道なストーリーをひたすら狂気的に描いています。

まず、カイムにとって「帝国」は自分の国を滅ぼした、復讐の対象でしかありません。ゲームの序盤、カイムが死んだ帝国兵を執拗に刺し続けるシーンがカイムの尋常でない復讐心を象徴しています。

なので、実際の物語の印象は「世界を破壊する帝国vs世界を守るカイムの戦い」というより「世界を破壊したい帝国vs帝国を滅ぼしたいカイムの殺し合い」という鬱屈したもの。

その証拠に、ナレーションからして「斬り殺せ」「皆殺し」「帝國のダニども」「一人残らずあの世に送れ」等といったやたら過激な表現を使う始末。

また、カイムは物語の導入で契約の代償として声を失うので、それ以降は終始無言。

この世の終わりの風景と狂気を感じるBGMの中で、無言でサクサクと敵を切り刻み続ける何とも言えないプレイ感覚は本作でしか味わえません。だって普通ならこんなゲーム作ろうと思わないし…。

 

カイム以外の登場人物ももれなくおかしな人ばかりです。

カイムの妹世界を守る封印の女神・フリアエは兄のカイムのことが恋愛的な意味で好きだし、そのフリアエの元婚約者であるイウヴァルトは密かにカイムに嫉妬している…というのがメインキャラの三角関係。

道中で仲間になるパーティメンバーも、ショタコン紳士のレオナール、カニバル未亡人のアリオーシュ、大人ぶった永遠の少年・セエレ、というどうしようもない人達。

敵の大将は野太い声で「オガーーーザーーーン」と叫ぶ幼女・マナ。彼女は中の人も子役ですが、子役に言わせるものとは思えないセリフがいっぱいです。

 

極めつけはマルチバッドEDとまで呼ばれる5つのED。

妹の群れ、巨大赤ちゃん、そして東京タワー等といった常人にはおよびもつかない展開のオンパレードと、到達難易度の高いEDほど狂気と絶望の度合いが濃くなっていくという徹底ぶりにはもう脱帽です。

それでいて、キャッチコピーは「抗え、最後まで」なんですよ。もう完璧です。本当に、本当にありがとうございました。

 

 

ゲームとしての出来は微妙

ただし、ゲームそのものの出来は正直なところ凡作レベル。

ドラゴンに載って戦う空中戦と、人間の主人公・カイムが武器を振るって敵を倒す地上戦の二つの要素を持ったARPGですが、全体的に動きがもっさりしていて、爽快感が足りません。加えてカメラワークも微妙。

特に、地上戦はいわゆる無双系のアクションなんですけど、マップが広くて敵がまばらな上、武器によっては一撃で死なないので、ちまちまとして作業感が強い。地上戦にはドラゴンに乗って敵兵を焼き払う低空戦も出来るのですが、こちらも弓兵に撃ち落とされることが多く、気持ちよく虐殺できません。

そんな訳ですから、このゲームの評価点は「ストーリーが狂っていること」、これに尽きるのです。

 

 

特徴的な要素

このゲームではステージを進める過程で、地上戦で使用する武器を入手できます。武器はそれぞれ一定数の敵を殺すごとにレベルが上がり、四段階に進化します。

武器が進化すると、性能が上がると同時にその武器にまつわるいわくを書いた「武器物語」というテキストが読めます。

これは単なるおまけ要素であって、読んだから何かあるわけでもなく、本編とも基本的には無関係なのですが、この武器物語もまた狂気と悲劇に満ち溢れた内容ばかりで、作品の雰囲気に上手くマッチし、いい味を出しています。

武器の成長システムは、武器物語の他にも、見た目が格好よくなったり、最初は使い勝手の悪い武器が後で大化けしたりして、本作の(ゲーム的に)面白いところでもあります。

でもって、武器を育てるために繰り返しプレイしていると、いつの間にかもっさりした地上戦が癖になってしまうのです…(笑)

 

あと、もう一つ特徴的なのはBGMです。

クラシック音楽をサンプリングして再構成するという手法で作られていて、とにかく少し聞けば普通のBGMじゃないのが分かります。

最初の方のステージは、変わってはいるけど、まだ普通にかっこいいBGMもあります。それが、ストーリーが進み、世界が破滅に向かうにつれ、BGMも歪んだ、狂気的なものへと進化します。

普通のゲーム音楽のように「燃える」とか「感動する」とかではないのですが、これまた不思議と引きこまれる、癖になるBGMです。

 

 

おわりに

10年以上経った今でもたまに話題にされる、狂気ゲームの金字塔です。

私が本作をプレイしたのはほんの数年前ですが、よくこんなものを作ったと色んな意味で感心してしまいました。たぶん今やっても同じです。

素晴らしいものは時代に左右されません。このゲームの狂気もまた、いつの時代にも通用する、とてもよくできた狂気なのだと思います(自分で言っていてよく分かりませんが…)

そろそろリメイクし時だと思うのですが、その気配もないので、PS2のソフトができる環境にある人は是非やっておいてください。