『一撃殺虫!!ホイホイさん』全1巻 感想

田中久仁彦一撃殺虫!!ホイホイさん』の感想です。ネタバレがあります。

 

 近未来、あらゆる薬剤に耐性を持ってしまった害虫を物理的に駆除するために作製された小型害虫駆除ロボット「ホイホイさん」とその周辺の人々の日常を描いた作品です。

 

 

あざとくない萌え漫画

 本作を一言で表すならあざとくない日常系萌え漫画です。田中久仁彦先生のキャラデザは、可愛いながらも落ち着いていて、どこかやさしい雰囲気があります。

私は「ゼノギアス」「ゼノサーガ」のキャラデザで田中久仁彦先生を知り、この『ホイホイさん』を読んでみたのですが、期待通りの可愛さです。

 

本作は10年以上前(2004年)に発売された作品ですが、今見ても絵柄に全く古臭さが感じられないのが素晴らしいところ。

非常に絵が丁寧で、ホイホイさん達が装備するメカから人類の宿敵であるゴキブリまで、しっかり描かれています。

 

 

ホイホイさんのいるゆるい日常

本作は基本的に一話1Pのショート漫画です。

ホイホイさんにいれ込むオタク・油壷くんが、ホイホイさんグッズを買っては一喜一憂したり、薬局(ホイホイさんは害虫駆除用製品なので薬局で売ってます)店員のきみ子さんに恋をしたり…という内容。

ホイホイさんは、油壷くんの買い与えた高額オプションにより、体操服やらスク水やらサンタ服(プレゼント袋の中身はゴキブリ)やらと色んなコスチュームを披露してくれますが、そのかわいい姿で武器をばかすか振り回してゴキブリ退治をする姿は妙にシュール。

絵柄同様、ストーリーもあまり媚びたものではなく、全体的にゆるーい空気が流れています。

 

主人公の油壷くんは筋金入りのオタクですが、オタク漫画(と現実)にありがちな「痛い」「キモい」描写はほぼなく、「ホイホイさんが大好き」という読者の気持ちを代弁したようなキャラクターなので、物語にも入りやすいです。

(まあ、そう思うのは私がオタクよりの人間だからであって、普通の人からみれば、食費を切り詰めてまでグッズを買ったり、イベントで何十万も浪費したりする油壷くんは十分「キモオタ」なのかもしれませんが…)

 

油壷くんの話の他にも、きみ子さんが友人でホイホイさんオタクのむーちゃんに振り回される様子や、ホイホイさん開発者たちのエピソードなどもあり。

ホイホイさんには「コンバットさん」「ペストXさん」という他社の後追い製品があり、「他社製品同士を近くで使用すると敵と認識して攻撃する」という世知辛い仕様のため、たまにバトル漫画にもなります。

基本が1P漫画であるため、物語自体はかなりあっさりとしたものですが、そのゆるくあっさりした中にも色々な要素を広く薄く詰め込んだ作品といえます。

 

 

おわりに

 「ゴキブリ退治美少女ロボ」という斬新な設定と、独特の雰囲気を持った日常系漫画で、田中久仁彦先生の生み出す素敵なキャラクターに癒されます。ホイホイさんをパッと見てかわいいと思ったら、読んでみて損はないでしょう。

一撃殺虫!!ホイホイさんLEGACY』という続編もあるのですが、こちらは長期休載もあり、まだ単行本が出ていません。

最近、連載が再開されたようなので単行本発売等の展開を期待しています(実は一度発売が決定したのですが、「特典DVDのアニメが制作不可能になったため」という珍妙な理由で発売中止になっています)

ところで、油壷くんの家ではホイホイさんが毎日大量のゴキブリを退治しています。単に油壷くんの家が汚いからあんなたくさんのゴキブリがいるのか、それとも、我々の家にも実はあれくらいゴキブリがいるのか……ちょっと考えたくないですね(笑)