空想の域

あくまで個人の感想です

「遊戯王ARC-V」感想

3年の長きにわたって放送された「遊戯王ARC-V」がとうとう終了しましたので、愚痴という名の感想を書きます。長いです。

 

 面白くなるはずだった

大半の人がそうであるように、私にとってもARC-Vの内容は満足できるものではありませんでした。ですが、この作品の何もかもが悪かったとは思いません。

召喚法ごとに分かれた4つの次元、各次元に存在する主人公とヒロインのそっくりさん、次元戦争、遊矢の中の覇王など、面白い設定はたくさんありましたし、序盤のストーリーも良かった。DTテーマを使ったアニメらしからぬガチ戦法にも驚きました。

それ以降も、零王の目的やアークファイブの意味、ズァークの正体など、物語の基本的な流れは良かったと思います。実際、伏線回収の話にはわくわくしましたし、ブログにもそういう意味の記事を書きました。

しかし面白くならないのです。

物語の大筋は、つまるところ「カードゲームで世界を救う」といういつもの遊戯王です。面白くないわけがないです。それなのに、何故か盛り上がらない。なぜでしょう。

 

 

遊矢の成長

私が思うのは、主人公・遊矢の成長が感じられないことです。

遊矢は当初、過剰におどけてみせることで人々から笑顔を引き出そうとしていました(権現坂の「笑わせるのと笑われるのは違う」は名言です)

やがてそこから一歩踏み出し、自分も相手も、そして観客も笑顔に出来るようなデュエルを目指して奮闘します。その一つの到達点が、数少ない名勝負である遊矢vs沢渡でした。

 

しかし、シンクロ次元編以降はそうしたシーンが全然ありません。セリフのうえで挫折や復活を繰り返すだけで、遊矢の成長がはっきりと分かるようなデュエルがないのです。

遊戯王はカードアニメです。物語の中心には常にデュエルがあり、不和はデュエルで解決し、悩みや怒りはデュエルでぶつけ、迷いがあるならデュエルで導かれるのが常識です。

当然、遊矢の成長もデュエルの中で描かれるべきでしたが、それができていないのです。

遊矢の成長がなければ、シンクロ次元に平和をもたらしたことにも、エクシーズ次元の人々に笑顔を取り戻したことにも、アカデミアに侵略をやめさせたことにも説得力がありません。

そのせいで話の展開がご都合主義的に感じられ、盛り上がらないのです。

 

 

エンタメとは何か

遊矢が標榜するのは人々を笑顔にする「エンタメデュエル」です。

しかし、本作の「エンタメ」はひたすら見た目の華やかさに終始するばかりで、戦術や相手との駆け引きや「逆境に動じない」「デッキを信じる」といった精神的強さのように、視聴者の思う「面白いデュエル」の要素は二の次にされています。

 

エンタメのよりどころであるAデュエルにしても、物語が進むにつれ進歩するどころかむしろ後退しています。

モンスターとともに地を蹴り、宙を舞うようなデュエルはいつの間にか鳴りを潜め、相手が攻撃宣言をしてからようやくAカードを探しに行く描写ばかり。

拾ったAカードは常に有用なものだし、Aトラップもなかったことにされ、しかも相手はAカードを使わないので、Aカードが完全に遊矢のご都合アイテムとなっています。

 

さらに言うなら、デュエルシーン自体、オベリスクフォース×3をワンキルするだけ、露骨な尺稼ぎ、経過の省略、乱入、中断など、興を削ぐような展開が多すぎます。デュエルのない回も多いです。

もしかすると、魂のぶつかり合うような熱いデュエルが少なかったばっかりに、エンタメの本質を見た目で誤魔化さざるを得なくなったのかもしれません。

 

デュエルが低調だから遊矢の成長が感じられないのか、遊矢の成長が感じられないからデュエルもワンパターンなのかは分かりません。しかし、デュエルを通じた遊矢の成長がない以上、ストーリーの魅力がそがれてしまうことは当然でしょう。

 

 

遊矢と仲間たち

また、ARC-Vはメインキャラがかなり多いです。そのため、ただでさえ一人あたりのデュエル数が少なくなりがちなのにもかかわらず、先ほど述べたようなおざなりなデュエルばかり連発した結果、登場人物達の実力や心境の変化を上手く表現することができず、結果として登場人物の魅力や関係性が希薄になってしまったと思います。

そのせいでどのキャラも1回や2回のデュエルですぐに遊矢を認めるか、あるいはいつの間にか認めたことになっています。

 

その最たる例が赤馬社長です。ろくなデュエルもなく(共闘であったvs零王戦も中断)、なぜ遊矢を認めるにいたったのか全く分からないままのラストデュエル。「因縁の対決」という感じが全然しません。

遊勝にしてもそうで、暴走した遊矢を止めるためにとった手段が不正カード使用によるデュエル中断というのはあんまりです。一流のデュエリストならば、デュエルで救うのが筋ではないでしょうか。

 

本作のキャラ設定は過去作に負けないくらい素晴らしいと思います。各人の使うテーマや、モンスターのデザインも秀逸です。

しかし、肝心のデュエル自体が手抜きであったばっかりに、その魅力が十分に発揮されなかったことは残念でなりません。

 

 

おわりに

嫌というほど長々と書きましたが、一言でまとめれば「おい、(まともな)デュエルしろよ」でしょうか。

他にも問題点は様々あると思いますが、言いだすときりがないので、解説は下記サイトに任せます。

 

dic.nicovideo.jp

 

それにしても驚くほど充実した記事です。

一介のクソアニメであれば「つまらない」「見る価値なし」で終わるところを、このように一挙一動をあげつらって批判されるというのは尋常ではありません(その内容が正論なのがまた悲しいのですが)

しかしながら、これは「ARC-V」という作品にかけられた期待の裏返しであると思います。

遊戯王が20年もの間続いてきたのは、熱心なファンの多さ故でしょう。

「ARC-V」もそんなファン達に期待されていたからこそ、その出来に対して、他作品以上に厳しい意見が多いのだろうと思います。

 

さて、そんな遊戯王の次回作「遊戯王VRAINS」は当初4月放送予定でしたが、続報で5月からとなりました。

今のところ公開されている設定は面白そうですが、出だしからこのゴタゴタぶりは、まさに期待不安の未来です。「VRAINS」も見るつもりですが、もしまた失敗したら今度こそ本当に遊戯王の終わりじゃないかという心配は正直あります。

でも、私は遊戯王が好きですし、同じくらい期待もしています(我ながらちょろい人間です)

「VRAINS」が今度こそみんなを満足させてくれる作品であることを願っています。