空想の域

あくまで個人の感想です

『GetBackers-奪還屋-』全39巻

原作:青樹佑夜/作画:綾峰欄人GetBackers-奪還屋-』の感想です。

ネタバレがあります。

 

良質厨二バトル漫画

 裏新宿と呼ばれるスラム街とその中心に位置する無限城を舞台に、「奪還屋」を営む美堂蛮と天野銀次の二人の主人公の活躍を描いた作品。裏稼業の話、というよりはバトルがメインの漫画です。

本作の特徴はなんといっても圧倒的厨二病。この漫画が連載されていた頃は、まだ厨二病という言葉はそれほど市民権を得ていなかった気がしますが、能力の設定や技名などは間違いなく厨二病です。

200kgの握力と他人に1分間の幻を見せる「邪眼」を持つ蛮、体から電気を発する能力を持つ銀次と、主人公達からして「いかにも」な設定ですが、敵も味方も終始こんな感じ。素直に厨二病的かっこよさを受け入れられるなら、読んでて楽しくなります。

 

インフレに次ぐインフレ

バトル漫画においてインフレは宿命ですが、本作はインフレもかなり派手です。

ですが、メインキャラはみんな一緒にインフレしていくので、序盤は強キャラだったのに気付けば雑魚、というようなことはあまりない印象。

逆に、敵キャラは強そうな奴でもあっさりやられてしまったり、戦わずして話が終わってしまったりと扱いの悪いキャラもいて、そのあたりは残念。雰囲気を盛り上げるためにとりあえずたくさんキャラを出したけど、扱いきれなかったのかな、という気がします。

神の記述編の子供たちは、全員の能力が見たかったですね。

 

ストーリーのスケール

ストーリーもどんどんインフレしていて、最初でこそ借金のかたにとられた娘をとり返す、というものでしたが、ラストではこの世界の創世に関わる大激闘に発展します。無限城も、最初は単なるスラム街の中枢のような扱いだったのに、いつの間にか神様が住みついています。

正直、ここまでスケールの大きな話が展開されるとは思っていませんでした。が、博士(ドクトル)と呼ばれる謎の美少女の存在や、ブードゥチャイルド、誰も無限城の無い裏新宿を思い出せないという設定など、伏線となる要素はたくさんあって、最初からこのような展開になることは決定されていたのだと思います。

終盤は特に展開が早くキャラもたくさん出てきて、読むのに体力がいりますが、ラストは晴れやかな結末で、頑張って読んだかいがありました。最終話を第1話と同じ構図で締めるのもかっこいい。

 

作画が凄いよ

作画の綾峰欄人先生は本作がデビュー作だそうですが、1話目からすでに画力がとても高いです。描き込みがとても細かく、週刊連載としては破格のクォリティだと思います。

背景、アクション、かわいい女の子など、どこをとっても高水準ですし、描き込みが多いにもかかわらず見やすく、読みやすいです。

昔はあまり気にしていなかったのですが、あらためて見ると圧倒的ですね。

 

お色気も凄い

マガジンの連載作品なのでお色気シーンも満載です。

メインキャラのヘヴンや卑弥呼はもちろん、ゲストキャラにも大概お色気担当がいて、目のやり場に困らない困りますね。

ただ、終盤になると露出度もインフレしているのか、女の子キャラは乳首が見えそうな衣装がデフォルトになっていて、ありがたみもへったくれもない感じでした。もうちょっと、シチュエーションを重視してほしかったかな…。

私の一押しは卑弥呼ちゃんです。IL奪還編でヘヴンと一緒につかまっているところがお気に入り。

 

おわりに

笑いあり、涙あり、エロあり、厨二ありの王道作品だと思います。

ちょっと設定を盛りすぎというか、詰め込み過ぎて重たい部分があるのは事実ですが、それを差し引いても面白い作品。長期連載かつ、大風呂敷を広げまくったストーリーにもかかわらず、投げっぱなしになることなく完結している希有な作品でもあります。この規模の物語を大きな破綻なくまとめられるのは、さすがキバヤシ先生。

小難しい設定を吟味しながら読むもよし、勢いに身を任せて読むのもよし。童心(厨二)に帰りたいときには最適な漫画です。