「ゼノサーガ エピソードⅠ」とゼノサーガシリーズ

2002年発売のPS2ゲーム「ゼノサーガ エピソードⅠ 力への意志」を中心に、ゼノサーガシリーズについて書きたいことを書きます。めちゃくちゃ長文です。

シリーズ全般にわたるネタバレがあります。

 

ゼノサーガシリーズについて

20XX年にゾハルと呼ばれる謎の物体が発掘されてから4000年後の未来、主人公・シオンと彼女らによってつくられたアンドロイド・KOS-MOSを中心とする人々による全宇宙の存亡をかけた物語です。エピソード1、2、3の全3作品で一つのストーリーが展開されます。

発売元が違うので明言は避けられていますが、「ゼノギアス」の設定におけるエピソードⅠ(星間戦争時代)の世界観がベースになっています。

 

パーティメンバーはシリーズ通してほぼ一緒で、普通の人間はほぼいません。主人公のシオンからして、20代の会社員の眼鏡の女の子というRPGの主人公としてはかなり珍しいタイプです。ちなみに、兄貴のジンは「ゼノギアス」のシタン先生にそっくり。ご先祖様なのでしょうか。

メインヒロイン(?)のKOS-MOSは邪神ではなく、アンドロイドです。なので体重90kgです(笑)作品ごとに少しずつデザインが変わっているのですが、私は「1」の姿が一番好きです。

でも、登場キャラで一番インパクトが強いのは敵であるアルベドでしょうね。CVの山ちゃん(山寺宏一氏)の圧倒的な演技力ときわどいセリフ回しのおかげで最高の狂人キャラに仕上がっています。エピソード1におけるネピリムの歌声でのモモとの会話シーンは色んな意味で凄いので一見の価値あり。

 

ゼノサーガ1」について

ゼノサーガシリーズ、特に「ゼノサーガ1」は「人を選ぶ良作」であると思います。後で述べますが、2と3は出来が微妙なので「ゼノサーガ1」の魅力がほぼそのままシリーズの魅力だと言ってよいでしょう。そんなゼノサーガの特徴について書きます。

 

ムービーゲーの典型

本作は、基本的にダンジョンを進んでムービーを見ることの繰り返しでストーリーが進行します。戦闘システムや育成要素は割と凝ってはいるのですが、感覚的には、ムービーの合間にゲームをしている、と言っていいくらいムービーが多いです。なので、ムービーゲーにアレルギーがある人はその時点で合わないと思います。

しかし、ムービーそのもののクォリティは非常に高く、見応えがあります。SFなので戦闘艦による戦闘シーンがいっぱいあるわけですが、どれもBGMの盛り上がりとムービーの展開がぴったり合っていて、めちゃくちゃかっこいいです。

モデリングは独特のアニメ調で、それ自体も人を選ぶ出来ですが、モーションは細かく、表情もしっかり表現されています。

BGMの作曲者は「ゼノギアス」と同じ光田康典氏で、文句なしの出来です。

 

ロールをプレイしないRPG

本作はあからさまに「主人公≠プレイヤー」です。今時そんなRPGは珍しくないですが、ゼノサーガは特にキャラクターに感情移入しにくいと思います。

まず、主人公・シオンは過去にあった様々な出来事を覚えていながら(忘れている部分もありますが)プレイヤーには明かさないので、最初から主人公とプレイヤーとの間には元から認識の差ができています。

しかも彼らが生きているのは現代から4000年後の未来。我々には及びもつかないような技術に囲まれて生活しており、出てくる専門用語などは用語辞典を見てくれ、というスタンスで、作中での説明は特にありません。作中の人々にとっては当り前のことであり、ましてやシオンは宇宙大企業ヴェクターのエリート社員ですから、いちいち解説がある方がおかしいのですが、プレイヤーはますます置いてきぼりです。

この「何となく難しそうな単語がたくさん出てきて謎だらけ」という雰囲気を気に入るかどうかが、この作品の評価が分かれ目だと思います。

 

エピソード2以降のゼノサーガ

続編のクォリティのおかげでゼノサーガを人に勧めにくい(笑)

繰り返しになりますが、ゼノサーガは3本で一つのストーリーです。「1」はいわば出題編であって、謎は膨らむだけ膨らんで、何も解決しません。なので一度「1」をプレイすると、当然「2」以降も遊ぶのですが…。

 

クソゲーゼノサーガ2

ご周知のとおり「ゼノサーガ エピソード2 善悪の彼岸」は、かのKOTY大賞受賞作品です。

間違った方向に進化したグラフィック、前作で張り巡らせた伏線を破壊するシナリオ、しょぼい演出、等々。BGMは梶浦由記氏が担当ですが、セリフに対してBGMのボリュームが妙に小さく、せっかくの名曲が生かされていません。

極めつけはあの有名な邪神フィギュア。限定版のお値段は2万近くしたらしいので、買ってしまった人はまさに発狂ものです。

 

打ち切り「ゼノサーガ3」

最終作である「ゼノサーガ エピソード3 ツァラトゥストラはかく語りき」では、グラフィックは正常の範囲内になりましたが、シナリオはけっこう投げやり。

ゼノサーガ2」の頃からそうですが、シオンがどんどん自己中でヒステリックなキャラになり、とうとう(一瞬だけとはいえ)敵に回る。主人公なのに…。逆に、あくまで脇役だったアレン君には突如として見せ場が生まれ、本編とはまったく無関係のおまけキャラだったはずのハカセとスコットクンが突如物語に絡んでくるという迷走っぷり。

それに、なんとシオンがヴェクターを退社する一連の経緯が、ゲーム本編ではなく公式サイトのフラッシュアニメになりました(現在は公開終了)ここで登場した新キャラはさも当然のように「ゼノサーガ3」本編にも登場します。なんとなんと、重要人物であるネピリムの正体もこのフラッシュアニメの中。

前作でやらかしまったせいで、無理やりにでも終わらせる必要が出てきてしまったのでしょう。とにかく駆け足で話をたたもうとしているのが分かります。

それでも収まりきらずに一部の設定は攻略本での解説に、ジギーとヴォイジャーのエピソードは携帯アプリ(現在は配信終了)に分割されています。

 

DS版「ゼノサーガⅠ・Ⅱ」について

実は、PS2版の「ゼノサーガ1」および「2」のストーリーをまとめたものがDS版「ゼノサーガⅠ・Ⅱ」として発売されています。PS2版で「ゼノサーガ2」に当たる部分のシナリオは大幅な変更が加えられており、これが本来の予定に近いシナリオと思われます。

要するにDS版+PS2版「ゼノサーガ3」をやればOKとも言えるのですが、個人的にはPS2版「ゼノサーガ1」をプレイしてほしいと思います(「2」は別にいいです)

その理由は先ほど述べたとおり、「ゼノサーガ1」のムービーの演出がめちゃくちゃかっこいいから。これを見ずしてゼノサーガは語れません。

DS版は、今までゼノサーガシリーズをやってきた人が「本当はこういうストーリーだったのか」と確認するにはいいのですが、ゲームとしてはあまり面白くないと思います。

イベントシーンは、立ち絵+テキスト、たまに一枚絵というオーソドックスなADV形式ですが、絵も音楽も演出も特に印象に残るものがなく、全体的に薄い感じです。

私はPS2版の後にDS版をやりましたが、味気がなさ過ぎてほとんど覚えていません。なので、どうしてもPS2の「ゼノサーガ1」を勧めたい。たとえ続編がクソであっても。

 

おわりに

残念ながら、ゼノサーガは世間ではあまり評価されていないと思います。「ゼノギアス」より輪をかけて人を選びますし、なんといってもストーリーが売りのゲームなのにストーリーが打ち切り完結。

熱心なファンであれば攻略本や資料集をあさって「本当はこういう話なのだ」と色々想像しますが、そうでない人はゲーム本編だけで評価を下しますから、仕方がないです。

 

おそらく、高橋哲哉氏の考える物語は、あまりにも壮大すぎて色々な意味で収まりきらないのだと思います。「宇宙の始まりから終わりまでを描く叙事詩」というのも、単に言葉だけでなく、ちゃんと具体的な構想が氏の頭の中にはあるのだと思います。

ですが、それをゲームというかたちで表現しようとした時、ディスクの容量だけでなく、かかる費用、技術、期間、人員等、あらゆるものが大きくなりすぎるのでしょう。

「2」がクソゲーになってしまったのは予定外の(大人の)事情のせいですが、それでなくてもゲームにおいて続きものの作品をつくるのはかなり難しいと思います。

事実、「1」の時点で予定したほどストーリーが進まなかったようですし(予定では1でΩが登場する予定だったようで、サントラには「Ω」という曲があります)大人の事情がなくても、作品が打ち切りになっていた可能性は否めません。

ですが一方で、ゲームには映像、音楽、テキスト、そしてプレイヤーの操作と、あらゆる表現の要素があり、壮大な世界観を表現するには最適なメディアだとも思います。

ですから、設定資料としてだけでなく、他媒体の作品でもなく、ゲームという形で高橋先生の思い描くままの完全なゼノサーガを見てみたいと思わずにはいられません。

現在のモノリスソフトは、ゼノサーガの版権を持つナムコを離れ任天堂の子会社になっているため、状況的に無理であろうことは確かですが、それでもリメイクを細々と待ち続けています。