『極黒のブリュンヒルデ』全18巻

岡本倫極黒のブリュンヒルデ』の感想です。ネタバレがあります。

 

 いきなり主人公がヒロインを殺しているように見えるシーンから始まる本作ですが、この冒頭シーンのように、続きが気になる展開の連続でぐいぐい引き込まれます。

岡本先生お得意(?)の女の子が酷い目にあう漫画で、人を選ぶエログロや独特のシュールギャグがありますが、本筋は硬派なSFです。

 

とにかく主人公達の状況が絶望的。研究所からは追手がくるし、鎮死剤が切れたら死亡、イジェクトされても死亡、相手は魔法を目撃した人もろとも殺しにくるので他人には頼れない、等々…。

そこを主人公である村上の機転と魔法使いたちの勇気でどうにかくぐり抜けていくところがこの作品の面白いところです。

特に、研究所の魔法使いたちはみんな強いです。設定だけではなくて、ちゃんと強さの説得的な描写があり、最後の最後まで「本当に勝てるのか?」と思わせてくれます。

そりゃあメタ的に考えれば主人公が死んだら話が終わってしまうので、助かるんでしょうけど、そういう冷めた視点を読者から失わせるくらいの勢いがあります。

たまにモブの魔法使いたちが手ひどい方法でやられていくシーンがあって、また一層絶望感を掻き立てます。が、まあこれはサービスシーンでもあるのかな(笑)

しかし、こんな状況にありながらも、寧子や佳奈たちは自身の能力で率先して人助けをしているのですから、頭の下がる思いですよね。

一方、日常シーンではエロゲを買う童貞をバカにしたり、ネコサンダーしたりといったほのぼのしたやり取りが見られます。魔法使いも普通の女の子なんだなぁ…としみじみ。このあたりの緩急のつけ方もいいですね。

 

とまあ、ここまでは良かったのですが、ヴァルキュリア戦後の第二部からは回復要因の初菜の存在や、冗長すぎる日常パート等によって第一部にあった緊張感が半減してしまいます。また、寧子が記憶を失ってしまったせいなのか、村上がヘタレ化し、今までのような勇気ある行動が少なくなったのも残念。

終盤になるともう終わりだからと言わんばかりに敵も味方も死にまくり。世界が滅びる寸前なので、仕方がないといえば仕方がないのですが、その割には小五郎や小野寺などはちゃっかり生き残っているのが、また何とも言えません。

ラストシーン自体は、幸せなような悲しいような、この作品らしいラストにも思えますが、ただ、孵卵の問題は解決してほしかったですね。残された佳奈や初菜に救いがなさすぎる…。

 

どうも本作は打ち切りのようでして、ヴィンガルフや宇宙人、魔法使い等に関する様々な謎が明かされぬまま完結してしまいます。魅力的な要素が多いだけに、その点が残念でなりません。たとえ中だるみがあっても、伏線回収をきっちりしてくれたら世間での評判もまた違っていたと思います。

一度連載を終了してしまった以上難しいとは思いますが、完全版などでの補完を願うばかりです。

 

余談ですが、アニメのOPがめちゃくちゃかっこいいですよね。