空想の域

あくまで個人の感想です

『多重人格探偵サイコ』 全24巻

原作:大塚英志/作画:田島昭宇多重人格探偵サイコ』の感想です。

ネタバレがあります。

 

 本作は猟奇殺人をテーマとした作品であり、かなり残酷描写が多いのですが(有害図書指定レベル)とにかく絵が美しい。ベタの使い方が独特です。カラーの水彩画も淡い色調でとてもきれい。

とにかくこの絵柄から漂う雰囲気が魅力です。作画が別の人だったら読まなかったかも。

 

好きなキャラはやっぱり雨宮一彦。そして伊園美和ちゃん。雨宮と美和のやり取りはなんだかほっこりします。雨宮は飄々としていますが、美和の前では結構たじたじですし、美和ちゃんも生意気コギャルかと思いきや、なかなか献身的なんですよね。

個人的にこれくらいの歳の差(雨宮の年齢は不明ですが、勝手に30手前くらいだと思ってます)が好きなので、雨宮探偵と美和助手的な話をもうちょっとたくさん見たかった。どうでもいいですが、女子高生に髪の毛切ってもらうとか、雨宮は割とけしからんレベルのリア充ですよ。

他のキャラもかなり濃くて、ついでに死体もかなりイカしていて(宅配便とか、植木鉢とかね)いい意味でお腹いっぱいです。渡久地のエピソードなんかは、身につまされますよね。あの、自分はこの程度じゃないって気持ち、誰にでもあるんじゃないでしょうか。

 

西園弖虎が主人公となってからは、猟奇というよりは人がいっぱい死ぬ系のアクション漫画といった感じ。ラストバトルである美和&弖虎vs若女は精神世界が舞台とあって、もはや何でもあり。Fuck the worldやら美虎ロケッツやらやりたい放題ですが、割り切って読めばそれなりに面白いです。

変なTシャツを着て人を殺しまくってた弖虎が、自分が何者であろうと生きていくと決意を決めたり、サンプルでもスペアでも生きていけることを証明してほしいと苗美に願ったりした時は、なんだか感動しましたね(まあその後も人を殺しまくるのですが)

あと、弖虎と美和のやりとりも好きです。

 

最後に、私は割と手放しにサイコが好きですが、ネット上では最初は面白かったのに…という意見が大半です。なんといっても19年という超長期連載、しかも休載や路線変更があり、謎が完全には説明されないまま終わってしまったため、あんまりだと思う人がいるのは仕方がないと思います。19年間連載を追いかけたとしたら、私もそういう感想になったかもしれません。

そういう意味では、最近この作品を知り、最後まで一気に読めたことは、幸運であったといえるでしょう。